アダルトチルドレンはなぜ「自分を認められない」と感じてしまうのか?
「毎日、何かが足りないような欠乏感を感じながら過ごしている……」。もしあなたがそんな風に感じているなら、それはとてもつらいことですよね。
何をしていても、どこか満たされない、物足りないと感じてしまう。実はこれ、アダルトチルドレンの方々によく見られる特徴なんです。
彼らは、幼少期の家庭環境が原因で、大人になっても「自分を認められない」という感覚に苦しむことがあります。
この記事では、そんな欠乏感を抱え続ける状態から抜け出し、ありのままの自分を受け入れられるようになるための方法をご紹介します。魔法のように一瞬で欠乏感がなくなるわけではありませんが、あなたが欠乏感を手放し、「自分を認められない」という苦しさから解放されるための、大切なきっかけになるはずです。ぜひ最後まで読んでみてください。
「自分を認められない」から生まれる欠乏感の心理
「欠乏感」とは、今の自分に満足できず、何かを「手に入れなければ」「変えなければ」と感じる状態のことです。特にアダルトチルドレンの方々にとって、この欠乏感は深く根付いていることが多いです。彼らは、自分の満たされていない部分ばかりに目が向いてしまい、「もっと頑張らなければ」という気持ちに常に駆られてしまいます。
具体的に、アダルトチルドレンが抱えがちな「自分を認められない」という感覚からくる欠乏感は、次のような形で現れることがあります。
- 「自分は全然ダメだ」
- 「自分は全然勉強ができない」
- 「自分は全然お金がない」
- 「自分はすごく容姿が悪い」
- 「自分は鈍くさくてダメな人間だ」
誰しも少なからず、こうした欠乏感を感じ、「あるがままの自分を認められない」経験をしているものです。
しかし、アダルトチルドレンの場合、この感覚が非常に強く、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。彼らは、幼少期に親から適切な愛情や承認を得られなかったり、常に批判されたり、過度な期待を背負わされたりした経験があるため、「自分には価値がない」「今のままでは不十分だ」というメッセージを無意識のうちに受け取ってしまっていることが多いのです。
心理学的には、この欠乏感は、まるで私たちを行動に駆り立てるガソリンのような働きをすることもあります。
何かを達成しよう、現状を変えようという原動力になることも、確かにあります。
しかし、アダルトチルドレンが抱える欠乏感の根本には、「今の自分を認められない」という自己否定の感情があるため、たとえその欠乏感から行動して何かを達成したとしても、また別の欠乏感が生まれてしまうという負のループに陥りがちです。
欠乏感があったからこそ成功したという例も確かにあるでしょう。
でも、一歩間違えると、一生この欠乏感に追いかけ続けられることになってしまいます。それは、心の底から満たされることのない、とてもつらい状態ですよね。
それでは、この欠乏感をうまく手放し、「自分を認められない」という苦しさから解放され、欠乏感と上手に付き合っていく方法をご紹介しましょう。
欠乏感を手放す第一歩:ありのままの自分を認める
欠乏感を少しずつ手放していくためには、日々の小さな「考え方の習慣」を積み重ねることが大切です。考え方が変わることで、あなたが抱えている欠乏感は、だんだんと薄れていくものなんです。
例えば、次の3つの欠乏感で考えてみましょう。
- 「自分は全然お金がない」
- 「自分は鈍くさくてダメな人間だ」
- 「自分は全然勉強ができない」
人は何かが足りていないと感じると、その足りていないことばかりを考えてしまう傾向があります。お金が足りないと思えば、寝ても覚めてもお金の心配ばかりしてしまう。まさに、お金に対する欠乏感に取り憑かれている状態です。お金のことばかり考えているなんてみっともないと思いつつも、ふと気づけば預金通帳の残高のことばかり考えてしまう……なんて経験、ありませんか?
また、「自分は鈍くさくてダメな人間だ」と思えば、自分のダメなところばかりが目に付いてしまいます。極端な話、駅の改札でちょっと足をつまずいただけでも、「ああ、やっぱり自分は鈍くさくてダメな人間なんだ」と思い込んでしまう。
「自分は勉強ができない」と思えば、簡単な問題が解けなかっただけで、「やっぱり自分は勉強ができないんだ」と感じてしまう。先生からの質問に答えられなかっただけでも、勉強ができないという欠乏感でいっぱいになってしまいます。
こうして、「足りていない」ということがいったん目に付いてしまうと、考えないようにしようと思っても、その欠乏感が頭をよぎってしまうものなのです。
欠乏感に囚われないための「あるがままの承認」
このような欠乏感ばかりを考えてしまう「症候群」を抑制するにはどうすればいいのでしょうか?実は、意外に簡単な方法だったりします。僕も例外なく、この「足りてないことばかりを考えてしまう症候群」に駆られていた時期がありました。どうしても自分の足りていないところばかりが目に付いてしまい、いつもそのことばかりを考えてしまうんですよね。お金がないときはお金のことばかり気になるし、自分のダメなところが目に付いてしまったときは、自分のダメなところばかりが頭から離れませんでした。
アダルトチルドレンが「自分を認められない」と感じる根本的な原因の一つは、自己受容の不足です。欠乏感を手放す方法は、あなたが欠乏感を感じているその「自分」を、あるがままに認めてあげることから始まります。
例えば、次のように自分のあるがままの状態を認めてあげるところから始めてみましょう。
- お金がないなら、お金がない自分を否定せず、ただ「今、お金がないんだな」と認めてあげましょう。
- 「自分は鈍くさくてダメな人間だ」と思うなら、無理して機敏になろうとせず、あるがままの自分を認めてあげましょう。「自分はちょっと不器用だけど、それが自分なんだ」と。
- 「自分は勉強ができない」と思うなら、勉強が苦手な自分を認めてあげましょう。「勉強は得意じゃないけれど、他に得意なことがあるかもしれない」と。
多くの人は、現状の状態を否定するところから入ってしまいがちです。しかし、「自分を認められない」という感覚が強いアダルトチルドレンにとって、この「あるがままの自分を認める」というステップは、非常に重要です。自己否定のループを断ち切り、少しずつ自己肯定感を育む土台を築くことにつながるからです。
あるがままの自分を認めてあげることで、欠乏感は少しずつ薄れていきます。これは、自分自身に対する見方を変える、いわば「認知の再構築」に当たります。野口嘉則さんの著書「これでいいと心から思える生き方」にも、欠乏感に支配されず、あるがままの自分で生きる方法が詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみることをおすすめします。
他者に与えることで「自分を認められる」ようになる方法
欠乏感をさらに手放していくためには、あなたが「できる範囲でいい」ので、他者に貢献することを考えてみましょう。
「お金がない」と思えば、お金がないことばかりが頭をよぎってしまい、お金が足りていないという欠乏感は、考えれば考えるほど大きくなっていきます。
この思い込みにも似た欠乏感を癒していくための練習が、他者への貢献です。自分は足りてない、足りてないと思い込んで、自分の中に溜め込もうとするからこそ、ますます欠乏感は膨張していきます。しかし、これを第三者に与えることを始めたときに、欠乏感はだんだんと薄れていくんです。
不思議なものですが、例えば、お金がないと欠乏感で満たされていた頭が、小さな範囲で気持ち良くご馳走してみると、だんだんと欠乏感が癒されていくのを感じるはずです。
また、「自分は欠点ばかりだ」と思い込んでいたとしても、相手の欠点を認め、褒めてあげられるようになると、驚くほど自分の欠点も気にならなくなっていくことがあります。
これは、他者に価値を見出すことで、自分自身の価値も間接的に感じられるようになるからです。
アダルトチルドレンが「自分を認められない」状態から脱却するためには、他者との健全な繋がりの中で、自分の存在意義を見出すことが有効な場合があります。他者に貢献することで、自分の能力や存在が誰かの役に立っているという感覚を得られ、それが自己肯定感に繋がっていくのです。
このように、欠乏感ばかりをいくら考え続けていても癒されることのなかった欠乏感は、他者に与えることを始めると、だんだんと癒されるようになるんですね。
まずは最初の一歩として、お金が足りないと頭がいっぱいのときに、高価なものでなくていいので、缶ジュースでもご馳走してあげることをお勧めします。こうした小さな「与える」行動を続けることによって、欠乏感で頭がいっぱいだった状態が、だんだんと手放せるようになっていきます。
これは、心理学でいうところの「セルフ・コンパッション(自己への慈悲)」や「利他行動」の概念とも繋がります。他者への親切な行動は、自己肯定感を高め、幸福感を増進させることが多くの研究で示されています。
最後に
「毎日欠乏感を感じながら過ごしている……」。もしあなたがこの状態から抜け出したいと願うなら、まず「自分を認められない」というあなたの感覚が、過去の経験からくるものであることを理解し、今の自分をあるがままに受け入れることから始めてみましょう。
そして、できる範囲で他者に与える行動を実践してみてください。
欠乏感は、単なるあなたの勝手な思い込みであることも多いんです。
与え続けることによって、欠乏感は癒され、「足りていない」と思っていたものが、実はすでに自分の中にある、あるいは自然と手に入る、という豊かな感覚に変わっていくでしょう。
あなたが「自分を認められない」と感じる状況から一歩踏み出し、自己肯定感を育むことで、毎日がより充実したものになるはずです。