ブログ

ノバ事件の裏側をのばうさ子が語る。社長はどんな人だったの?

<スポンサードリンク>

私の名前はのばうさ子。

 

2007年に経営破綻した英会話スクール「ノバ」って会社で新卒から働いてたの。

 

私が入社したころののノバはとても勢いがあって、新卒入社も500人もいたくらい。

 

私も仕事しながら異文化コミュニケーションができると思って、ワクワクして入社したの。

 

当時は「4割任用人事」なんて言葉があって、その役職をこなす4割の力があれば抜擢するってキャッチフレーズもあったわ。

 

新卒にとってすごくやりがいがありそうな仕事に見えたのよね。

 

それになんと言ってもあのノバうさぎのCMなんてすごくインパクトあったじゃない?

 

「いっぱい聞けていっぱい喋れる〜♪」ていうフレーズは今でも覚えてるでしょ?

 

私が入社したころは「駅前留学」や「お茶の間留学」なんて言葉も出てきて、英会話スクールとしてはとても画期的な会社に見えたのよ。

 

私も入社してすぐにマネージャーに抜擢されてとても楽しく仕事をしていたの。

 

マネージャーになると店舗の責任者になれるのよ。

 

お給料?当時はみんな新卒から安いお給料で雇われていたからマネージャーになっても大したお給料にはならなかったわ。

 

マネージャーになると副主任なんて役職はつくけど、そこまできてやっと大卒初任給と同じくらいのお給料になるの。

 

4割任用の抜擢人事とはいうけど、役職がついてやっと人並みのお給料がもらえるくらいだったと思うわ。

 

でもね、一緒に働いてる社員はみんな良い子ばかりで安いお給料でも朝から晩までめっちゃ働くの。

 

仕事自体は楽しくてやりがいもあったからみんな朝から晩まで一生懸命働いたんだと思うわ。

 

繁忙期の9月や3月にはキャンペーンをするんだけど、その時はみんな終電まで残って働いてたものよ。

 

キャンペーンで受講料が3割引なんて大々的に打ち出すから、新規の問い合わせが殺到するのよ。

 

もちろんその分ノルマもめちゃくちゃ高くなるから大変。

 

そういえばノバのノルマは10日ごとに設定されていて、毎月3回締め切りがあるの。

 

ノルマが達成できなければ上司にめっちゃめちゃ怒られたものよ。

 

その頃はコンプライアンスなんて言葉もなくて、何よりも10日ごとの売上目標を達成することに必死。

 

だからレッスンポイントに有効期限があるなんて誰も説明せずに必死に契約をとってたと思うわ。

 

これが後々経営破綻の引き金にもなるのよね。

 

私も入社したときにはとにかく契約をとるだけで、解約時の返金説明なんて教えてもらってなかったの。

 

今思えば生徒さんには本当に悪いことをしたと思うわ。

 

え、社長?当時の社長の発想力は他の英会話スクールとしては飛び抜けていたと思うの。

 

ノバ事件が起こる前なんて「熱意の味方キャンペーン」といって、女性社員は黒のタイトスカートに

 

白シャツのブラウスを着させてコスプレ営業させていたわ。

 

このコスプレが熱意の味方と何の関係があるのかまったく意味がわからなかったの。

 

だけどそのくらい社長の発想力ってぶっ飛んでたってことよね。

 

でもその社長の飛び抜けた能力が不幸な結末を招いていくなんて、そのころは誰も予測できなかったと思うわ。

 

ノバ事件はここから始まった。1,000店舗を目指して拡大路線へ

 

私が覚えてる限り、ノバ事件は社長が直営で1,000店舗を目指し始めてから経営がおかしくなっていったと思うの。

 

社長がマネージャー会議で直営1,000店舗を目指すって突然言い始めたのよ。

 

ノバがまだ勢いがあった頃は2ヶ月に1回くらいのペースで全国のマネージャーたちが集まって社長のありがたいお話を聞く会議があったの。

 

その会議がまた酷くて私たちが集まるのはお昼の13時くらいで、社長が来るのは夜の20時くらい。

 

そこから深夜の3時くらいまで会議をしてたの。意味わかんないでしょ?

 

でもね誰も会議のタイムマネジメントがおかしいなんて社長に言えなかったのよ。

 

それにね会議に参加したマネージャーは次の日絶対出勤して、社長の訓示を伝達する義務があったの。

 

そうそう社長が話す言葉は一言一句ノートにメモしないといけなかったわ。

 

ちゃんとメモできてるか後でチェックされるのよ。ちょっと危ないでしょ?

 

その危ない会議の中で社長が突然1,000店舗を目指すんだって言い始めたの。

 

直営店で1,000店舗を超えてるスカイラークや吉野家に勝つんだ!って。

 

スカイラークや吉野家なんて競合でもなんでもないのに、直営店の数で競っても仕方ないと思わない?

 

だけどそのときの社長が言い始めたんだから、みんな従うしか選択肢はないの。

 

1,000店舗に向けて一気に店舗展開が加速していったわ。

 

だけど新規店舗をどんどんオープンするのはいいけど、講師が足りないの。

 

だから講師を新店舗に派遣するんだけど、これまでの店舗は講師不足でレッスンの予約が取れなくなっちゃうのよ。

 

そこから生徒さんの不満が爆発していったように思うわ。

 

 

レッスンの予約が取れなくて不満が殺到

 

私もいつも次回のレッスンの予約受付のたびに「ごめんなさい。満席で予約が取れないです」って謝ってたの。

 

そんで予約が取れないことに対しての社長の言い分が面白いのよ。

 

「飛行機だって満席になる前にずっと前から予約しておくもんだ。直前に予約しようとしても満席なのは仕方ない」なんだって。

 

いやいやJALやANAの飛行機の予約と一緒にすんなよって思うでしょ?

 

英会話レッスンの予約なんて気軽に予約できるから続けれると思うじゃない。

 

それが飛行機の予約みたいに何週間も前に計画して予約するなんてできるわけないのよ。

 

本当に発想がぶっ飛びすぎてて開いた口が塞がらなかったわ。

 

それでね、予約が取れないから生徒さんが怒って退会するって言い出すのよ。

 

そのとき始めて解約の返金額を計算するんだけど、想像以上に返金額が少ないわけ。

 

そりゃ生徒さん怒るよね。

<スポンサードリンク>

 

レッスンの予約は取れないわ解約の返金額が少ないわ踏んだり蹴ったりなわけよ。

 

実はね、そのときの通常レッスンは3年契約をするんだけど1年ごとに3分の1ずつレッスンポイントが失効していくシステムだったの。

 

つまり3年で150回分のレッスンを購入したら1年ごとに50回分が失効していくシステムだったのね。

 

そんな説明申込時にほとんどのスタッフはしてなかったのよ。

 

そんでいざ解約となったらレッスンポイントが失効していて返金額が少ないなんてトラブルになっちゃったのよ。

 

いちおう申込書にも有効期限を書く欄があるんだけど、私が知る限りほとんど空白だったと思うわ。

 

そんな無茶なことやってるからね、消費者センターに2,000件を超える苦情が入ってしまったの。

 

これがのちのち経済産業省が立ち入り検査する引き金になったのよ。

 

経済産業省の立ち入り検査が入り営業停止に

 

あまりにも苦情が多かったのでとうとうお上も怒って立ち入り検査をすることになったの。

 

あれは2007年2月14日、ちょうど世の中がバレンタインデーで浮かれる日だったわ。

 

大阪と東京に経済産業省の職員さんが立ち入り検査に入ったの。

 

次の日にはマスコミがいっせいに立ち入り検査に入ったことを報じたのよ。

 

ここから一気に新規申し込みが減って解約も増えていったことを覚えてるわ。

 

さらに悪いことは続くのよ。

 

4月には最高裁がノバの契約は「特定商取引法の趣旨に反していて無効」という判決を言い渡しちゃったの。

 

そして2007年3月の連結決算は約30億の赤字になると各メディアが1面で取り上げちゃったの。

 

このころから「ノバ潰れんじゃね?」という話が現実味を帯びてきたわ。

 

生徒さんが潰れる前に解約金を少しでも返金してもらおうと解約ラッシュが巻き起こったの。

 

解約の書類には書いてもらうけど、返金するお金がないもんだからこれもクレームになって大変だったわ。

 

「いつ返金するんだ」って店舗に怒鳴り込んでくるなんてしょっちゅうよ。

 

いつ返金されるかなんて私たちはわかんないし答えようがないのよね。

 

いちおう本社へ問い合わすこともできたんだけど電話も全然つながらなかくてほんと苦労したわ。

 

なんとか電話がつながっても「待ってもらってください」としか言われずにいつ返金されるのか誰も教えてくれなかったの。

 

そしてとどめを刺したのは2007年6月に経済産業省が一部業務停止の行政処分をくだしたの。

 

もうここからキャッシュがまわらなくなって大変だったのよ。

 

生徒さんの中には返金してもらうまで帰らないと、店舗に居座る人も出てきたわ。

 

中には大声で脅してくる人もいて本当に怖かった記憶があるの。

 

そして今度は2007年の7月頃から社員のお給料が振り込まれなくなったの。

 

お給料が振り込まれないもんだから社員も退職する人が多かったわ。

 

いつまで振り込まれなかったかって?それは2007年10月に経営破綻するまでずっと振り込まれなかったの。

 

破綻するまで残ってた社員はそれまでずっとお給料なしでただ働きしてたのよ。

 

私も含めて借金してなんとか生活していた人が多かったわ。

 

社員もお金がまわんないから潰れるんなら早く潰れてほしいと思ってたのよね。

 

もちろん社長からはお給料がもらえないことに対して何の説明もなかったの。

 

たまに直筆のFAXが流れてくるんだけど、「とにかく今は耐えてくれ」みたいなことが書いてあったわ。

 

紙切れ1枚で済ませるな!!ってみんな思ったものよ。

 

もうその頃になってくると社員も潰れるのは時間の問題だろうと思ってたわ。

 

だけど社員の中にはなんとかノバ復活してほしいと思って健気に信じてる人もいたのも事実なの。

 

いつかまた勢いのあった会社に戻れるんじゃないかって思ってたみたいね。

 

だけど2007年10月にその期待も見事に打ち砕かれる結果になってしまったの。

 

社長が解任され経営破綻に

 

あれは急な出来事だったわ。

 

朝出勤したら店舗に張り紙を貼って帰りなさいって指示が出たの。

 

店舗を閉鎖します。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんって内容だったと思うわ。

 

私たち社員は何も知らされてなかったんだけど、ああとうとうこの日がきたのかって感じだったわね。

 

その日の朝刊で社長が解任されて会社更生法が適用されたと知ったわ。

 

私たちは当面の間、自宅待機を命じられたの。

 

社長ではなく他の経営陣が会社更生法の適用を申請したみたい。

 

社長からしたら勝手なことすんなって思ったでしょうね。

 

だけど私はなんだかホッとしたわ。

 

だってお金が回ってないのは明らかだったし、まさに座して死を待つ状態だったもの。

 

いつか破綻を迎えるとわかっていながら、その日がいつかわからないってけっこう辛いものよ。

 

こうして私のノバ人生は終わりを迎えたわけ。

 

そうそうそういえば社長室に隠し部屋があったって話題になってたわね。

 

社長室には行ったことあったけどあんな部屋があるなんて全然気づかなかったわ。

 

そういえば人事異動でかわいい人はみんな社長の側近部署に異動になってたのよ。

 

当時の社長が女好きだったのは端から見ていてよくわかったわ。

 

公私混同していたのも破綻の引き金を引いたのかもしれないわね。

 

そのあとノバは華々しく復活して、今は素敵な英会話教室になってるみたいね。

 

私はもうそこにはいないけど看板を見かけるといつも懐かしく思うわ。

 

大変な状況を乗り越えて復活を遂げたノバをこれからも応援しています。

 

※この記事に登場する人物や団体は架空の存在であり、実在する人物や団体とは一切の関係がございません。

 

あらかじめご了承ください。

 

<スポンサードリンク>

-ブログ