人から褒められても全然うれしくないのはなぜ?
「人から褒められても、まったくうれしくない」——そんな気持ちを抱える人は少なくありません。とくにアダルトチルドレンの傾向がある人にとって、褒め言葉を受け取るのは、むしろ苦痛に近いこともあります。
例えば、
- 「よく頑張ってるね」と言われても、「そんなことないです」と反射的に否定してしまう。
- 「あなたって優しいね」と褒められても、「たまたまです」と受け流してしまう。
これ、ただの謙遜ではなく、自分の中にある“ある傾向”が影響してる可能性があります。

アダルトチルドレンが褒め言葉を受け入れられない理由
自己肯定感の低さが原因
アダルトチルドレンは、幼少期に無条件の愛や承認を十分に受け取れなかった経験が多く、その結果として自己肯定感が育ちにくい傾向があります。
「自分は価値のない存在」「人から褒められるような人間ではない」といった根深い思い込みがあると、どれだけ褒められてもそれを受け取ることができません。
褒められることに違和感を感じる
自己肯定感が低い人は、他人からの好意的な評価を“嘘”のように感じてしまいます。「お世辞だろう」「どうせ裏があるんじゃないか」と、相手の言葉の裏を読んでしまう癖があるのです。
このようにして、素直に褒め言葉を受け取れず、「褒められてもうれしくない」と感じてしまうのです。
自己肯定感が低い人の心の動き
自動的に否定してしまう
褒め言葉を受け取ったとき、自己肯定感が低い人は無意識にこんなふうに考えます:
- 「そんなのはたまたま」
- 「本当にそう思ってるの?」
- 「どうせ他の人にも同じこと言ってるんでしょ」
この“否定のフィルター”が働いてしまう限り、どんなに褒められても心は動きません。
ポジティブな言葉をネガティブに変換してしまう
「優しいね」という言葉を、「八方美人って意味?」と曲解してしまうように、褒め言葉を自分の中で“ねじ曲げて”しまうのです。
この心の癖は、長年の家庭環境によって作られたもの。アダルトチルドレンにとっては、ごく自然な防衛反応になってしまっているのです。
褒め言葉を受け取れるようになるには
「ありがとう」と受け止める練習をしよう
アダルトチルドレンが褒め言葉を受け入れる第一歩は、「ありがとう」とだけ返す練習をすることです。
最初は違和感があるかもしれません。でも、それは“慣れていない”だけ。繰り返し素直に受け取る経験を積むことで、少しずつ心がほぐれてきます。
褒めてくれる人の気持ちを信じてみる
褒め言葉は、相手の“好意”や“認める気持ち”の表れです。それを否定することは、相手の思いを拒絶することにもつながります。
「この人は私の良さを見つけてくれたんだ」と信じてみることから始めてみましょう。
自己肯定感を高めるための小さな習慣
自分の良いところを書き出す
毎日一つでもいいので、「今日できたこと」「自分の長所」を書き出してみましょう。意識的に自分を認める練習です。
ネガティブな言葉にストップをかける
例えば「優しいね」と言われたとき、素直に「ありがとう」と受け取ればいいだけの言葉なのに、「それって、誰にでもいい顔してるってこと?」といったように、真逆の意味に受け取ってしまうことがあります。
このような“ねじ曲げ”は、単なる誤解ではなく、心を守るための反応です。
アダルトチルドレンとして育った人は、過去に「期待に応えなければ愛されない」「いい子でいなければ価値がない」といった条件つきの愛情を受けていたことが少なくありません。そのため、誰かからポジティブな言葉をかけられると、「これは本心じゃないかもしれない」「あとでがっかりされるかもしれない」と、無意識に警戒してしまうのです。
この心の癖は、防衛本能のように自動的に働きます。かつて、褒められたあとに裏切られたり、期待を押しつけられたりした経験があると、同じ思いを二度としたくないと感じるのは当然のこと。だからこそ、褒め言葉にさえ“危険信号”を感じてしまうのです。
こうした反応は決して「性格がひねくれている」わけではなく、「そうすることでしか自分を守れなかった」過去があったという証です。アダルトチルドレンにとっては、それがごく自然な防衛反応になっているのです。
ちょっと余談:スヌーピーの名言に学ぶ
「ほめられたら『ありがとう』と言えばいいのよ」——スヌーピーの仲間・リランのクラスメイトのセリフです。
このシンプルな一言、意外と難しい。でも深い意味がありますよね。
うまくできなくても大丈夫。少しずつ、「ありがとう」が言えるようになるだけでも、自分の心に変化が起こります。
最後に
アダルトチルドレンにとって、褒められてもうれしくないという気持ちは、とても自然なものです。
でもそれは、あなたの価値がないからではなく、「自分には価値がある」と信じる力=自己肯定感が少し弱いだけなんです。
褒め言葉を受け取るのに、完璧である必要はありません。「ありがとう」と返すだけで、その瞬間、あなたの中で自己肯定感が育ちはじめています。
今日から少しずつ、自分の価値を認める習慣を始めてみましょう。
あなたには、褒められるだけの価値がちゃんとあるのですから。