過去の記憶に引きずられてしまうこと、ありませんか?
ふとした瞬間に、何年も前の嫌な記憶が突然よみがえってくる。
「思い出したくもないのに、勝手に頭に浮かんできて苦しくなる」
そんな経験、ありませんか?
たとえば、昔言われた心ない一言、裏切られたこと、無視された記憶。時間がたっても、まるで昨日のことのようにリアルに思い出されてしまうことがあります。

思い出したくない人が脳裏に浮かんで何時間も起きているなんて本当に苦痛です
これは決して「気にしすぎ」ではなく、アダルトチルドレンに多く見られる心の反応です。
なぜ過去の嫌な記憶が何度もよみがえるのか?
無意識のうちに「心の傷」に反応している
私たちは意識していなくても、似たような出来事や感情に触れると、過去の記憶がフラッシュバックのように蘇ることがあります。これは心が「同じような危険が迫っている」と判断し、防御反応を取っているからです。
とくにアダルトチルドレンは、幼少期の環境で身につけた「警戒心」や「自己否定感」が強いため、無意識のうちに自分を守ろうとする働きが活発です。
心の中に「未処理の感情」が残っている
何度も思い出してしまうのは、記憶というよりも「感情」が解消されていないからです。
「本当は悔しかった」「本当はもっと大事にされたかった」
そんな気持ちが心の奥に閉じ込められたままだと、それを感じさせるような場面に遭遇したときに、未処理の感情が過去の記憶と結びついてよみがえります。
思い出さないようにするほど逆効果
抑え込むほど心は叫びたくなる
「こんなこと考えちゃダメ」「思い出してるなんて自分はダメだ」
そうやって無理に打ち消そうとすると、逆にその記憶は心の中で力を増してしまいます。
心理学では「皮肉過程理論(Ironic Process Theory)」と呼ばれ、人は「考えないようにしよう」と意識すると、かえってその対象を強く意識してしまう傾向があります。
たとえば、別れた恋人を忘れようとすればするほど頭から離れなくなる…。それと同じです。
じゃあ、どうすればいいの?〜抵抗しないアプローチ〜
「思い出してもいい」とゆるすことから始めよう
嫌な記憶が浮かんできたとき、「まただ…」と落ち込むよりも
「今、思い出してるな。そりゃそうだよね、傷ついたんだもん」と、自分を責めずに見つめてみてください。
いわば、心の中で白旗をあげる感じです。抵抗をやめることで、むしろその記憶は長居せず、やがて静かに去っていきます。
感情を一度、ちゃんと感じきる
嫌な出来事を思い出したとき、感情を無理に押し込めるのではなく、
「イライラするな」「あの時は悔しかったな」と、湧き上がってきた気持ちを自分で認めてあげましょう。
ポイントは「感じるけれど、引きずられないこと」。
まるで嵐が通り過ぎるのを待つように、じっとその感情を見つめていれば、やがて波は引いていきます。
繰り返し思い出すことには意味がある
アダルトチルドレンの多くは、過去の記憶に「今の自分が気づいていない大切な感情」が含まれていることを、無意識に知っています。
だからこそ、何度も何度も同じ記憶を思い出しては、心が「ここに気づいて」「ここがまだ癒されてないよ」と訴えているのです。
この視点を持つことで、思い出すことを「悪いこと」ではなく、「癒しの途中経過」として受け止められるようになります。
少しだけ気持ちを楽にするヒント
「また思い出してるな」と実況してみる
あえて深刻に受け止めず、軽く実況中継するくらいのスタンスでOK。
「はい、今、頭の中に登場してきましたー」「わたし、あのこと思い出してますね〜」というように、ちょっとおふざけ気味でも構いません。
心ってね、こういう“ゆるさ”にふれることで少しずつ癒されていきます。
ひとり反省会は今日でおしまい!
過去を思い出しては「なんであの時うまく言い返せなかったんだろう」と自分を責める、いわゆる“ひとり反省会”を何度も開いていませんか?
でもね、それって、当時がんばってた自分に失礼かもしれません。
あのときの自分は、あれが精一杯だった。そう思ってあげることも、回復への大切な一歩です。
最後に
何度も嫌な記憶を思い出して落ち込んでしまう…。
それは心がまだ整理しきれていない大切な何かを、あなたに知らせているサインかもしれません。
アダルトチルドレンの人にとって、記憶や感情に丁寧に向き合うことはとても勇気のいること。でも、ほんの少しだけ「思い出してもいい」「傷ついたのは当然だ」と認めてあげることで、気持ちは不思議と落ち着いていきます。
すぐに楽になるわけじゃなくても大丈夫。
少しずつ、思い出す頻度が減ってきたり、思い出してもダメージを受けなくなったり、ちゃんと変化は訪れます。
あなたの心の回復は、ちゃんと進んでいます。