「嫌われたらどうしよう」が止まらないあなたへ
「相手にどう思われているかが気になって仕方がない」「少しでも距離を感じると不安でたまらない」。
そんなふうに、人との関係で心が大きく揺れる経験はありませんか?
ちょっとした表情や一言で、「嫌われたかもしれない」「私が悪かったのかな」と不安が広がり、頭の中がそのことでいっぱいになる――
それは、単なる気にしすぎではなく、**「見捨てられ不安」**という深い感情に根ざしているかもしれません。
見捨てられ不安とは? その正体と背景
幼少期の経験が影響していることが多い
心理学では、「見捨てられ不安(abandonment anxiety)」とは、他者とのつながりが途絶えることに対して、過剰に不安や恐怖を感じる状態を指します。
特にアダルトチルドレンと呼ばれる人々は、この不安を無意識に抱えやすい傾向があります。
たとえば、こんな経験はありませんでしたか?
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親や身近な大人の気分や態度が安定せず、顔色をうかがっていた
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感情を表現すると「そんなこと言う子は嫌い」と言われた
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突然怒られたり、突き放された記憶がある
こうした家庭環境で育つと、「私は大切にされない」「ありのままの自分では愛されない」といった信念(スキーマ)が心の奥深くに形成されてしまいます。
なぜ“良い人”を演じてしまうのか?
「嫌われたくない」「怒らせたくない」――
そんな思いが強くなると、自分の本音を押し殺し、相手に合わせて“良い人”を演じるようになります。
自分を守るための適応戦略
これは自分を守るために編み出した、いわば生きるための戦略です。
しかし、大人になってもこのパターンが続くと、次のような悪循環が起こります。
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無理して相手に合わせ続けて疲れてしまう
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期待通りの反応が得られないと「私ばかり」と不満がたまる
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「どうせ見捨てられる」「誰にも理解されない」と感じ、孤独が深まる
このように、見捨てられ不安は人間関係のすれ違いや自己否定を引き起こしやすくします。
「気にしすぎ」は感受性の高さゆえ
見捨てられ不安を抱えている人は、他人の反応や空気の変化に非常に敏感です。
これは「気にしすぎ」なのではなく、感受性が高いことの裏返しとも言えます。
不安の奥にある「つながりたい」という願い
「人に嫌われたくない」と思う気持ちの奥には、「本当はつながっていたい」「理解されたい」という健全な欲求があるのです。
この本音を無視して、「自分が悪い」「こんな自分はおかしい」と否定し続けていると、心の痛みはどんどん増してしまいます。
どうすれば見捨てられ不安から自由になれる?
① 不安を否定しないことから始めよう
まずは、「嫌われたくない」「不安で仕方がない」と感じる自分を責めないこと。
それは、あなたがずっと人との関係を大切にしてきた証です。
「そう感じるのは当然のことなんだよ」と、自分の気持ちに優しく声をかけてあげてください。
② 安心して話せる場所を持つ
見捨てられ不安を解消するには、「自分の気持ちを安全に表現できる場」を持つことがとても大切です。
たとえば…
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信頼できる人に話す
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カウンセリングを受ける
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同じ経験を持つ人のコミュニティに参加する
誰かに話を聞いてもらうことで、「思い込みだったのかもしれない」「私はちゃんと大切にされていい存在なんだ」と、少しずつ新しい感覚が芽生えてきます。
③ 「今のままの自分でも大丈夫」と感じられる体験を重ねよう
完璧でなくても、失敗しても、相手に好かれなくても、「それでも自分はここにいていい」と思える感覚。
これを少しずつ積み重ねていくことが、見捨てられ不安を乗り越える鍵になります。
まとめ:あなたは、そのままで大切にされていい
見捨てられ不安は、「弱さ」ではありません。
それは、あなたの「つながりたい」「わかってほしい」というまっすぐな願いのあらわれです。
誰にも頼れない、気持ちを話すのが怖い――
そんなときこそ、ひとりで抱え込まないでください。
少しずつで大丈夫。
あなたが「ここにいていい」と思える居場所を見つけていけますように。